熱分析と冷却曲線

冷却曲線に対する基本的な考え方

冷却曲線の測定ポイント


数値化されるポイントは上図の値になります

  • @初晶過冷温度
  • A共晶過冷温度
  • B初晶温度
  • C共晶温度
  • D共晶凝固時間
  • E液相線凝固時間
  • F凝固温度範囲

冷却曲線をよむ

冷却曲線をよむ必要性

溶解しているものが凝固する場合には必ず凝固点又は凝固開始点があり、アルミ合金においては化学組成によってその開始点が異なります。

つまり凝固開始点(初晶又は初晶温度)を知る事によりSi%が判ります。

各工場用の管理値とその必要性

その解釈は一定のものではありませんが、各工場では操業条件が若干異なる様に、その条件に適合する管理図を書いてみる事が必要です。

そうすればALT-Iの表示がそのまま用いられますが、工場によっては少し修正する必要がある工場と出てきます。
一般的にはそれ程大きく修正する必要はありません。

初晶点と共晶点をよむ(図@〜D)

初晶点と共晶点をよむ必要性

アルミ合金には凝固開始点(初晶点または初晶凝固温度)があると共に凝固終了点(共晶点または共晶凝固温度)があります。

溶湯の主要合金元素Si・Cu・Mg・Mn・Feのうち初晶点の変化にSiが大きく影響し、主要合金元素量が多くなれば初晶点は低くなります。つまり初晶点と共晶点の差の高低によりSi量の多少を判断できるわけです。

その外にも初晶点・共晶点の過冷却度を知ることで、いろいろな利用価値(結晶粒の微細化・Siの微細化等)があります。初晶・共晶温度と共に冷却曲線の二大重要々素という事が言えます。

初晶過冷却をよむ(図@)

初晶過冷却をよむ必要性

冷却曲線の溶融から初晶までの間に大なり小なり過冷の現れたときに過冷を生じるのですが、過冷の度合(過冷度)と結晶核の微細化とは密接な相関性があります。

結晶核の微細化が判り、製品の抗張力や伸び等の機械的性質も推定できます。

共晶過冷却をよむ(図A)

共晶過冷却をよむ必要性

冷却曲線の初晶から共晶までの間に大なり小なり過冷の現象がでてきます。

冷却速度と結晶の成長速度とのバランスがくずれたときに過冷を生じるのですが、過冷の度合(過冷度)共晶温度の変化とSiの微細化とは密接な相関性があります。

Siの微細化が判り、製品の抗張力や伸び等の機械的性質も推定できます。

凝固温度範囲をよむ(図F)

凝固温度範囲をよむ必要性

初晶から共晶までの温度差と時間を凝固温度範囲とよんでいますが、この凝固温度範囲から溶湯の凝固速度が判り、製品の抗張力や伸び等の機械的性質や引け性等も推定できます。

凝固区間の時間をよむ(図DE)

凝固区間の時間をよむ必要性

初晶から、過冷却、共晶へと移行する時間を調べる事によりアルミ合金の性質を推定する事ができます。

初晶から過冷却までの時間(液相線凝固時間)と過冷却から共晶までの時間(共晶凝固時間)の二つをとってみますと、前者が短くて後者が長いものと、これと反対に前者が長くて後者が短いものとではその溶湯の性質には大きな差があります(合計時間が同じ場合)。

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