従来は、テストピースを製造し分析するという方法でした。テストピース製造に時間を要し、また分析するのにも多大な時間が必要となりました。熱分析は、アルミニウム合金の凝固状態までの温度変化をみる方法なので、テストピースの製造及び、多大な時間を要する分析をする必要全くありません。
テストピースが不要なのに加え、アルミニウム合金の凝固状態までの温度変化をみる方法なので、短時間で測定が終了します。
シェルカップに注等すれば、自働的にシステムが分析を行いますので、従来の方法のような人為差が生じません。
数値化されるポイントは上図の値になります。
アルミニウム合金の凝固開始から終了まで、温度変化を数値変換し、冷却曲線を描画します。
※測定ポイントは右図(冷却曲線と測定ポイント)参照。
初晶、共晶の各温度と凝固する時間の関係により 二次D.A.S、Si%、共晶Si微細化状態、合金純度、結晶粒状態が判定できます。
※熱分析におけるよむ点とその必要性については、熱分析の冷却曲線に対する基本的な考え方をご覧ください。
凝固速度により、デンドライトアームスペースが判定できます。
微細化剤の効果の有無が分かります。
Si%の管理ができます。
下はSrの微細化処理をしたものである。処理をした溶湯のものの方が微細化しています。
元湯(処理無し) | 処理後の溶湯 |
---|---|
粗大化 | 微細化 |
処理をしていない元湯と比べ、処理をした溶湯は冷却曲線において初晶と共晶の出現するポイントが変わり組織の形成の影響を受ける。冷却曲線では共晶温度の降下がみられ組織との相関がみられます。
元湯(処理無し) | 処理後の溶湯 |
---|---|
以上から組織の形成と、冷却曲線の相関があるといえます。
下の図はアルミシリコン系状態図の想定濃度における冷却曲線を表したものです。冷却曲線の初晶過冷温度、共晶過冷温度を使うことにより状態図によりSi% を算出することができます。実際の溶湯で測定した場合、下図のように初晶過冷温度、共晶過冷温度が現れる場合が多くあります。
ALT-Tは、専用のアルカップと連携するにことより、高度の熱分解能を有する。
新しい熱分析装置により、その溶湯の特徴点を的確に把握し、分析することができます。